『神さまとのおしゃべり』に学ぶ、いくら絵が上達しても心が満たされない理由

胸に穴が空いたチルノの影 描き方

絵はカンタンには上達しない。

そんなことは「絵が上手くなりたい!」と願い、上達努力を続けていれば誰でもわかることです。

それでも努力を続けていれば、程度の差はあれ確実に上達はする。

だから中々上達しない苦しみより厄介なのは、

チルノ
チルノ

いくら上達しても全然満たされない・・・

この胸にぽっかり穴が空いたような苦しみのほうです。

書籍『神さまとのおしゃべり』を読んでわかったのは、この苦しさの根本的原因は「絵の上達の願い方」にあるということ。

この記事では、間違った願い方から生じる苦しみの脱出法を紹介します。

間違った願い方

間違った願い方とは、次の2つに分類される願い方のことです。

間違った願い方
  • 回避欲求型の願い
  • 到達欲求型の願い

回避欲求型の願い

これは「〇〇が嫌だ」という、ネガティブな損失や問題を回避したい欲求をモチベーションにした願い方です。

基本的に人は「得したい」より「損したくない」欲求のほうが強い。

だからこの欲求をベースにした願いはモチベーションを高く維持しやすいです。

しかし問題は、僕ら人間には「否定語の想像」ができないということ。

「〇〇が嫌だ」と願っている間は、ずっと嫌いな〇〇のことを想像し続けてしまう。

強く願えば願うほど、嫌いな仕事や嫌いな人、自分の嫌いな側面にフォーカスしてしまうので日常がストレスで満たされます。

すぐ叶えばいいですけど、そうじゃない場合は不幸まっしぐらです。

到達欲求型の願い

こちらは「〇〇が欲しい」、「〇〇がしたい」という、ポジティブな報酬を獲得したい欲求をモチベーションにした願い方です。

回避欲求型はネガティブフォーカスに陥りやすいことが問題でした。

ならばポジティブフォーカスに切り替えればどうでしょう?

こちらであれば、欲しいもの、好きなものにフォーカスするので幸福度は上がりそうです。

カラーバス効果やプラシーボ効果などの心理学効果も働くので、「引き寄せの法則」的なプラス変化もないとは言えません。

しかし、幸福度が上がるのは理想の未来に意識を向けてる間だけ。

現実に意識を戻している間は、理想と現実のギャップが強調されて苦しみやプレッシャーが倍増します。

希望を膨らませた分だけ絶望も膨らむ。

手を伸ばせば届くレベルのギャップなら問題ないでしょうけど、それ以上を願えばやはり不幸まっしぐらです。

一般的な願い方はこのどちらか、もしくは2つの複合型に該当すると思います。

HPや防御力が高い戦士タイプの人はこれらの願い方でも問題ないかもしれません。

しかし、HPも防御力も低い魔法使いタイプの人にとっては自己否定を強め、自らを不幸にする願い方。

絵の上達願望に苦しみを感じているのであれば、「願い方=戦略」を改めたほうが良いでしょう。

どうありたいかワーク

では、どうすれば間違った願い方を変えられるのでしょうか?

なんと、そのために必要なことは次の5つの質問に答えるだけ。

この方法で、サクッと絵の上達願望を正しい願い方にチューニングしてしまいましょう。

どうありたいかワーク

Q1)何が嫌なのか?
Q2)それならどうしたいか?
Q3)そしてどうなりたいか?
Q4)それが叶ったらどう感じるか?
Q5)結局どうありたいか?

Q1)何が嫌なのか?

自分の願いの中の回避欲求を明らかにします。

絵の上達願望であれば「絵が下手なのが嫌」とか「絵を批判されるのが嫌」とかになるでしょう。

Q2)それならどうしたいか?

嫌な状態を脱するためにどういう行動を取りたいか、何を得れば問題解決するのかという到達欲求を明らかにします。

こちらは「絵を上達させたい」、「画力が欲しい」などになるでしょう。

Q3)そしてどうなりたいか?

回避欲求、到達欲求を満たして自分はどういう状態になりたいのかを考えます。

ここで言語化される「他人に作品を認めてもらえる神絵師になりたい」、「絵で収入を得られるマンガ家やイラストレーターになりたい」といったいわゆる「夢」は、2つの欲求の複合型。

複合型の願いを意識すれば、回避欲求、到達欲求の両方が刺激されモチベーションがより高まります。

それらは幸せに生きるためには必要かつ有益なエネルギー。

しかし、今の自分を否定することで生み出されるモチベーションであるため、願いが強いほど自己否定が強まるリスクも抱えています。

「絵が上手くなりたい」と願うことは「自分は絵が下手だ」と己に言い聞かせるのと同じなのですから。

叶えてしまえば解決するようにも思えますけど、そうカンタンには行きません。

願い方は生き方そのものです。

少し経てばまたさらなる上昇を願ってしまうでしょうから、不幸のサイクルからは抜け出せません。

Q4)それが叶ったらどう感じるか?

Q1~3は絵の上達願望を分解し、満たしたい不足要素を把握するステップ。

ここからが願い方をアップデートするステップです。

まずはQ3で言語化した願いが成就した世界を想像してください。

さらにその世界では、その後生じる「次の願い」も全て連鎖的に成就していくものと考えてください。

あらゆる不満・不足が満たされた理想の世界であなたは何を感じるでしょうか?

納得、満足、楽しさ、気楽さ、平穏、爽快、ご機嫌・・・。

もしくはワクワク、ふわふわ、楽々、のびのびなど、想像の中で感じた幸福感を感じたとおりに言語化してみてください。

Q5)結局どうありたいか?

最後は「〇〇な自分でありたい」のような形式で、〇〇の中にQ4で言語化した「幸福感」を当てはめれば正しい願い方は完成です。

例としては「自分の絵に満足できる自分でありたい」や「絵を描くのを楽しめる自分でありたい」など。

結局のところ、突き詰めれば人間の願いとは「幸福でありたい」に集約されます。

そして「自分は幸福だ」と信じるために必要なのは、他者からの承認やステータス、お金、権力ではなく、Q4の幸福感。

あらゆる願いを叶えた先であなたが獲得したかったのはその幸福感なのですから。

欲しいもの全てを手に入れても幸福感を感じられなければ不幸ですし、逆に今のままでも幸福感を感じられているなら幸せだと信じられます。

ここでポイントになるのは次の3点。

幸福感のポイント
  • 想像できる幸福感は過去に経験済み
  • 経験済みなら今のスペックのままでも再現可能
  • 再現手段を限定しなければ今すぐ味わえる

過去に経験したことのない感覚を想像することはできません。

ということは、Q3の願いを叶えずとも、様々なコンプレックスや人生の課題を解消せずとも、今のままで望む幸福感は味わえる。

例えば「楽しさ」であればマンガやゲームで、「満足」であれば食事や買い物で今すぐにでも、これから何度だって味わえるでしょう。

幸福感を味わえている瞬間を「不幸だ」と思う人はいません。

しかも今すぐ叶えられるなら回避欲求でストレスまみれになったりしませんし、今の自分が手を伸ばせば届くのだから到達欲求で絶望を膨らませたりもしません。

「〇〇になりたい」という願いは成就するまで「〇〇じゃない自分」を否定し続けます。

対して「〇〇でありたい」という願いはすでに成就しているので自己否定につながりません。

「〇〇である自分」の再現精度に応じて、今の自分への祝福レベルが変動するだけです。

1ミリでも再現できてれば1ミリ分祝福できるので、不幸サイクルに陥りにくい。

この願い方にチューニングできたなら、あとは「絵」という手段での幸福感再現法を考えるだけです。

絵の上達の正しい願い方

手段を限定しなければ今すぐ幸福感を再現できますけど、「絵」に限定する場合は少し難易度が上がります。

でも間違った願い方をするよりは遥かに近道。

やり方は次の3ステップです。

絵による幸福感の再現ステップ
  1. その幸福感をどんな体験から得たのか把握する
  2. 幸福感の発生条件を把握する
  3. 発生条件から再現方法を構築する

再現方法は人によって異なるでしょうけど、参考として僕の実践してきた方法を紹介します。

①その幸福感をどんな体験から得たのか把握する

僕が想像する「絵の上達願望が成就した世界」は、「自分は絵が上手い」と信じて疑わなかった小学生時代と重なります。

当時は今よりずっと下手だったにもかかわらず、絵の上達欲求は完全に満たされていました。

あの時の幸福感こそが僕の上達願望の果てにあるものです。

②幸福感の発生条件を把握する

まあ当時は周囲の大人たちが絵をほめてくれていたし、下手だと批判する人がいなかったから幸福な勘違いを続けられていたわけです。

しかし、歳を重ねるにつれてほめてくれる人は減り、批判する人は増えていく。

その結果「自分は絵が上手い」と勘違いできなくなって、「自分は絵が下手だ」と不幸な勘違いをするようになってしまった。

だから絵の上達を望み、「他人に認められる」ことで小学生時代を再現できると考えてきたわけですけど、それは完全に間違った戦略でした。

そこから発生条件を考え直して見つけたのが「自分に認められる」という条件です。

他人に認められず、批判されるのは嫌ですけど、最終的に「自分で自分の絵を認められる」のであれば「納得」できます。

納得できているなら回避欲求、到達欲求はどちらもギリギリ満たされるので、小学生時代の感覚に近づける。

だから「自分の絵を認められる自分でありたい」を願いとして設定しました。

③発生条件から再現方法を構築する

あとはその発生条件を満たすためのプランを考え、1つずつ試していくだけ。

試すほどに自分の絵に対する納得精度は上がっていきました。

今では納得がデフォルトです。

試したプランは過去記事にまとめてあるので、気になるものがあればリンク先の記事をご覧ください。

また、最近は絵で「満足」を再現できるようにもなってきました。

こちらは先に満足の再現方法が確立していた「ブログ記事作成」との組み合わせによるものです。

試したプランは次のとおり。

満足の再現方法
  • ※納得できている前提
  • ブログ記事の内容を補完するためのイラスト作成
  • 文章によるアイディア出し
  • 締切なし

このブログコラボ案から学んだのは、ほかの「楽しさ」などの幸福感も、既に楽しめている別手段と組み合わせれば再現できるかもしれないということです。

まだ検証中の段階なので、再現方法が確立できたら別記事にて紹介したいと思います。

ぜひあなたもいろんなコラボ案を試してみてください!

まとめ

「いくら上達しても満たされない」という苦しさの原因は、欲求不満をモチベーションにする間違った願い方をしているからです。

その願い方をしている限り、どれだけ上達しようとも意識は不足にフォーカスし続けます。

そりゃあ永遠に満たされないのも当然ですよね。

「絵の上達=画力向上」と考えてると間違った願い方に陥りやすいので、この機会に「絵の上達=幸福感の再現力向上」に変換してしまいましょう。

1ミリでも再現できるようになったとき、あなたは足るを知れます。

まとめ
  • 誤「〇〇になりたい」:成就するまで「今の自分」を否定
  • 正「〇〇でありたい」:再現精度に応じて「今の自分」を祝福
  • 絵の上達=「△画力向上▶◎幸福感の再現力向上

あとがき

僕が『神さまとのおしゃべり』を読んだのは、絵に納得できるようになったあとのことでした。

「他人に認められたい」という叶わぬ願いを最小化し続けて「自分に認められたい」と願うようになったことが、偶然にも「絵による納得の再現」を願う形式に合致していたようです。

本書を読んでよかったのは、どうしてそこから流れが変わったのかを論理的に理解できたことです。

そこから正しい願い方を応用して「満足」の再現も可能になりました。

さらに今は「楽しさ」の再現も検証中。

かつての間違った願い方からは「苦しさ」の発生条件を学び、その回避方法もわかるようになってきました。

おかげでここから先も存分に「絵の上達」を願って行けそうです。

▲人生を不幸にする固定観念の修正テクニックを多数紹介してくれる本です。

願い方の詳しいロジックを把握できれば、願いの精度をさらに高められることでしょう。

ただ、これまでの価値観をひっくり返すレベルの教えがありすぎて、おそらく一読するだけじゃ消化しきれません。

なのでスキマ時間に繰り返し聞けるオーディブルで読むのがオススメ。

主人公と神様の軽快な会話劇により話が進むので、オーディオブックとの相性はバツグンです。

(※Audibleに登録すればオーディオブック版を初回30日間は無料で聴けます。この機会にお試しあれ)

【関連記事】僕が本書を読む以前に、「他人に認められたい」から「自分に認められたい」に願いをシフトしたときの経緯はこちらの記事にまとめてあります。

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