【タルパのススメ①】ひとりぼっちの寂しさは趣味や交流だけじゃ癒せない

絶望する人の背中にハグする天使 タルパ

現代では『友達なんかいなくていい』という友達不要論を耳にすることが増えてきました。

ソロキャンプや一人焼肉などのソロ活動を楽しむ風潮も一般化してきています。

しかし、大学時代後半まで友達ゼロだった当時の僕には『友達なんかいなくていい』とはとても思えず、救いを求めて孤独をどうにかする方法をネット検索していました。

そして出てくるネットからのアドバイスは主に2種類。

ネットからのアドバイス

『没頭できる趣味を見つけろ』

『リアルでもネットでもいいからコミュニティに参加して友達を作れ』

これに対して、

正直な反応

『趣味に没頭してない時間は辛いままだろうが!!』

『コミュニティ参加して友達作るとか、それが全然うまくいかないから悩んでんだろ!!』

と感じてしまうのは当時の僕だけではないはずです。

この記事では、こうした正論ではどうにもならない寂しさを癒す方法として『タルパ作り』を提案します。

タルパとは

タルパとは己の想像力で作り上げた『空想上の友達』のことです。

空想に過ぎないとは言え別人格として会話が可能なので、暇な時に雑談したり、悩み事について一緒に考えてもらう事ができます。

またそれなりにイメトレが必要ですけど、脳内イメージを現実の風景に重ねることでAR(拡張現実)的な擬似可視化もできます。

これだけ聞くと、

『何かと思ったらスピリチュアル系かよ・・・』

と思って引いてしまう人も多いでしょう。

スピリチュアルやオカルトと結びつけて解説しているサイトが多いので無理もないですけど、実際は超マイナーなだけの『創作の一種』です。

マンガや小説では架空のキャラクターを作って空想世界で展開します。

それに対して、タルパは架空のキャラクターを現実世界で展開しているだけのこと。

コツさえ掴めれば誰でもできてしまうので、あまり神秘性とかはありません。

非常に効果的なメンタルコントロール術である『セルフコンパッション』の中にも、『自分に肯定的な架空人格を構築する』というテクニックがあります。

それはまさにタルパ作りそのもの。

心理学でも『イマジナリーフレンド』と呼ばれるものとして認知されています。その他『エア友』という呼び名で知られてもいます。

タルパの概要

【イマジナリーフレンド(略称:IF)】
心理学用語。幼い子供本人にしか認知できない空想上の友達。
子供の発達過程における正常な現象とされ、基本的には自然に発生し、自然に消えていく存在。
中には大人になってもIFが持続するケースもある。

【タルパ】
由来はチベット仏教の秘術名。人工的に作った精霊をコントロールする術らしく、人工精霊とも表現される。
あくまで由来であり、ネット上で語られるタルパ作りには仏教知識・修行は必要ない。
大まかには『IF=子供が意図せず作った架空人格』、『タルパ=大人が意図的に作ったIF』として区別されている。

【エア友】
タルパの別称。エア友達の略。エアギターの友達版。

基本的には全部同じものと考えて大丈夫です。

細かい定義の違いを気にしなくてもタルパ作りに支障はありませんから。自分が好きな呼び名を使えばいいと思います。

個人的には『エア友』が一番定義がゆるくて意味もわかりやすいから好きなのですけど、記事内ではネット上で一番メジャーな『タルパ』を採用しています。

タルパ作りで寂しさが軽減される理由

なぜタルパ作りでひとりぼっちの寂しさが軽減されるのか?

その理由を次の4段階で説明します。

寂しさ軽減ロジック

①ひとりぼっちの寂しさ=味方ゼロの不安
②味方=自分の弱さの共感者
③世界一の共感者=タルパ
④タルパを信じられれば味方イチ

①ひとりぼっちの寂しさ=味方ゼロの不安

僕は『ひとりぼっちの寂しさ』とは『味方ゼロの不安』であると考えています。

コミュニティ内において味方ゼロであることは、周囲の人間が全員敵かもしれない状況です。

それはサバンナやジャングルのような危険地帯を一人さまよっているようなものであり、生存本能的に安心できないのは当然のこと。

この集団内で生じる本能的な不安が『寂しさ』だと考えます。

集団から逃げ出して一人になれば多少苦しみは和らぎますけど、社会という集団からは逃げられません。この出口のない底なしの不安から脱するには『味方をゼロからイチにする』しかないのです。

味方イチになれば、一人で過ごしていても消えない『味方がいる安心感』が手に入るため、寂しさが軽減されるわけです。

②味方=自分の弱さの共感者

では寂しさ軽減の鍵となる『味方』とは何でしょうか?

僕は『自分の弱さの共感者』を味方だと考えます。

『弱さ=短所』なので、多くの人は『理解』できても『許容』できずに否定してしまいます。

己に言い聞かせているのと同様にダメ出しや否定的アドバイスをしてしまう。親でさえ心配という名の能力否定ばかりしてしまう。まあ許容できる人が多ければ最初から『弱さ』とは認識されませんからね。

仕方ないとは言え、否定されて改善するなら苦労しませんし、『否定者』を味方と思うのは無理です。

また『肯定者』であっても敵とは思わないだけで味方とも思えません。肯定だけでは社交辞令や建前の域を出ないからです。

しかし、その弱さを許容できる『共感者』であれば僕らは心を開く気持ちになれます。

数ある弱さのうちの一つに共感してもらったに過ぎなくても、少なくともその人は『その弱さの味方』だと思える。

だからその人の前では少し安心できるのです。

③世界一の共感者=タルパ

でも親ですら該当しない『自分の弱さの共感者』なんてどこにいるというのか?

その一般解は『自分自身』です。確かに自分であれば自分の弱さを誰より理解できるので許容もしやすい。

しかし、共感は楽器の共鳴のように他者との関係性があってこそ成立するものです。それに自分だけでは味方ゼロの認識は変わりません。

ここで必要としている共感者は『他者』という条件を満たす別解なのです。

でもそんな人は周囲にいない。だから詰み・・・・・・とはなりません。

自分の外側の世界にはいなくても、自分の内側の世界にはいるからです。

あなたが今一人の空間にいるとしても、頭の中にはこれまで記憶してきた『他者』がたくさんいますよね。

あなたはいつだって彼らと脳内で対話ができる。彼らに嫌なことを言われた記憶を何度も再生し、『もしもあの時こう言い返していたら・・・』という妄想議論をしたことが誰しもあるはずですから。

でも実は、脳内の彼らは現実の本人と同一人物ではありません。

なぜなら妄想の中では現実で本人が言ってないセリフも含まれていたはずだから。それは相手が言いそうなセリフとして、あなたが勝手に創作したものです。

だから脳内のその人物は、無自覚のうちに二次創作された『他者であり自分でもある』半架空のキャラクターなのです。

そしてこの脳内創作キャラを意図的に作るのがタルパ作り。

嫌いな人ベースでは嫌な性格になってしまいますが、好きなキャラベースであれば好感の持てる性格になります。

無自覚とはいえ今までも創作キャラと対話してきたのだから、『空想上の友達』と対話できても不思議はないでしょう。

タルパは『自分』なのだから世界で一番自分の弱さを理解できるし、『他者』でもあるのだからちゃんと共感も成立するわけです。

④タルパを信じられれば味方イチ

もちろんタルパは創作物に過ぎないただの空想。

でもタルパの言葉は空想ではありません。

タルパとの会話ではお互い本音が伝わってしまうので、都合がいいだけの優しい嘘をタルパに語らせても虚しいだけ。

だから最初から最後まで本音で会話するしかない。

なので彼ら自身は空想に過ぎなくても、彼らの示す共感の言葉や感情は『自分の内側』から引き出された本物であり、寂しさを癒す力を持っているのです。

妄想内の他人に言われた言葉でも傷つくことがあるのだから、その逆の効果だってあって当然。

その効力を体感し、タルパを味方だと信じられたなら『味方ゼロ▶味方イチ』に変わります。

寂しさが消えるわけじゃありませんけど、それだけで大幅に軽減されることでしょう。

タルパを作る具体的メリットTOP3

『でもやっぱり寂しさが軽減されるだけじゃ根本的には何も解決してないじゃん』

という風に思われる方もいるかもしれません。確かにそのとおり。客観的には『ひとりぼっち』の状態は何も変わっていないのですから。

しかし悩みが何も解決しないわけではありません。その具体例を変化が大きい順に3つ紹介します。

タルパを作る具体的メリットTOP3

1位.孤独耐性アップによりソロ活動が捗る
2位.コミュ障改善により生きやすさが向上
3位.創作能力アップにより趣味が捗る

1位.孤独耐性アップによりソロ活動が捗る

これまでは孤独を感じると『寂しい・・・虚しい・・・消えてしまいたい・・・』みたいなネガティブ思考しか湧いてこなかったと思います。

でもタルパがいれば『孤独を感じる▶タルパがフォローに入る』という思考パターンが形成されるため孤独耐性がアップします。

孤独耐性が上がればソロ活動を楽しみやすくなるので、無理してコミュニティ参加する必要もなくなります。

そうやって一人の時間を楽しめるようになると、心の余裕が増えて他人と一緒でも楽しめるようになるもの。

だったら苦手な他者交流は後回しにして、まずは得意なソロ活動を楽しめるようになったほうが良いでしょう。

これからは信頼できるお供がいつも一緒なわけですから、もう『ひとりぼっち』だなんて自己卑下する必要もなくなるはずです。

2位.コミュ障改善により生きやすさが向上

ボッチ最大のコンプレックス『コミュ障』。

なんとタルパ作りをするとコミュ障が改善されます。

一番の理由は孤独耐性アップにより、『他人に好かれたい!/嫌われたくない!』という焦りに飲まれにくくなるから。

能力は同じでも、緊張せずに落ち着いて話せたほうがコミュニケーションがうまくいくのは当然です。

また、空想とは言えタルパは基本的に雑談相手なわけですから、毎日スキマ時間でコミュニケーションのイメトレをしているようなもの。

となれば、普段他人とあまり会話してないコミュ障であってもコミュ力が底上げされるのも当然と言えます。

そして雑談以外にも、他人には相談できない正解のない悩み事や疑問について一緒に考えるわけなので思考力も深まります。

ただ感じてるだけの漠然とした思考や、本やネットで知っただけの知識はリアルの会話中に上手く言語化できません。

しかし一度タルパとの会話の中で言語化し、整理できたものであればリアルの会話でも出力しやすくなるのです。

この『タルパと会話▶情報の言語化&整理▶ボキャブラリー増』のサイクルでコミュ力が底上げされていきます。

僕も間違いなくタルパ作りが理由でコミュ障を改善できました。借り物の知識ではなく、自分で考えた意見を他人に話せるようになったのは彼らのおかげです。

ただし、これだけでコミュニケーション強者になれるわけではありません。

人並み以上のコミュ力を獲得するには、別途鍛錬や素質が必要です。もともと苦手なんですから人並みレベルを超えるは簡単じゃない。

それでも『自分の感情・思考を表現できない』というコミュ障状態を脱せるだけで生きやすさはメチャクチャ変わります。

3位.創作能力アップにより趣味が捗る

タルパ作り自体が『創作の一種』なので、これまで創作活動と無縁だった人も自然と創作ができるようになります。

タルパ作りの過程でイラストを描いてヴィジュアルイメージを補完したり、会話トレーニングとして文章に書き出しながら会話してみるなど、目に見える形で表現されていればそれは立派な創作ですから。

また、版権キャラをタルパにした場合はそのキャラへの理解が深まりますし、オリジナルキャラを作ればキャラデザ能力が磨かれます。

人間以外のものに人格を見出す能力も磨かれるので、擬人化なども上手くなりますね。

他にも、ただの平凡な日常であっても、タルパと過ごした日常であれば他人と異なる特別なエピソードとしてイラストや漫画のネタにしやすい。

これらのおかげで、僕は模写的なイラストしか描けない状態を脱してオリジナルイラストを描けるようになりました。

創作もコミュ力同様『得意』と呼べるレベルになるには別途鍛錬と素質が必要になります。

でも一人で過ごすのが好きな人は感受性が高いですから、『没頭できる趣味』にはしやすいと思います。

まとめ

以上のとおり、ひとりぼっちの寂しさを軽減できれば孤独耐性が上がってソロ活動を楽しみやすくなったり、コミュ障が改善したり、創作能力が上がって趣味の幅が広がったりします。

ちなみにペットも『自分の弱さの共感者』になりうるので寂しさを癒やす力を持っています。ただ、新たにペットを飼うのは結構ハードルが高い。

タルパであれば購入や世話などの金銭コストはゼロ。それでいて上記メリットが付いてくるのだからオススメです。

今思えば、寂しさ解消のために没頭できる趣味探しやコミュニティ参加などを頑張ってもうまくいかなかったのは当たり前でした。

ひとりぼっちの寂しさが癒やされないままでは、常に不安で何をしても面白く思えないのですから。

なのであなたも一旦頑張るのをやめて、タルパ作りを試してみてはいかがでしょうか。

まとめ
  • タルパ作り=超マイナーなだけの『創作の一種』
  • タルパ作りにより、味方をゼロからイチにできればひとりぼっちの寂しさを軽減できる
  • 寂しさを軽減できれば孤独耐性、コミュ力、創作能力がアップする

あとがき

もしかしたらここまで読んだ時点で、『タルパなんて作ったら孤独を余計こじらせるだけじゃないか?』なんて不安を抱いている人もいるかもしれません。

そこで最後に少し僕自身の話をしてみます。

最初にちょっと語ったとおり、僕は大学生後半になるまで友達がいませんでした。

必死の努力でなんとか学校で話せる『話し相手』や、学校以外で遊べる『遊び相手』は獲得できていました。

でもどうしても彼らを『友達』だとは信じられず、常に不安を抱えながら緊張して付き合っていたのです。

そんな人間不信な僕でしたけど、ちょっとしたキッカケでタルパ作りに成功し、その辺りから人間関係が徐々に改善し始めました。

初めてリアルでも友達ができたのは、タルパを作って半年くらい経ってから。

その時のことを振り返ってみると、友達ができる前後で変化していたのは『自分との関係性』でした。

それまで自分を含めて誰も信じられなかった僕は、タルパを信じながら過ごすうちに、彼らが信じてくれる自分自身を信じられるようになっていました。

その延長線上で自分が信じられる、信じたいと思える知人を『友達』だと思えるようになっていったのだろうと考えています。

だからと言ってその後スムーズに右肩上がりに人間関係が良くなっていったわけではありません。株価変動を示すギザギザグラフように上がったり下がったりを繰り返しています。

でも総合的に見れば右肩上がりに改善してるといった感じです。

そして体感的にその右肩上がりの上昇率と『自分との関係性』の改善率は相関しており、こちらはタルパ作りを始めてから悪化したことなどほぼないです。

むしろタルパ作りを始めてからようやく改善できるようになったことです。

これまでも『他人との関係性』が悪化し孤独な状態に陥ることはありましたけど、孤独をこじらせて『自分との関係性』まで悪化したことはありません。

それはやっぱりタルパがいて、『他人との関係性が人間関係の全て』ではなかったからでしょう。

他人が信じられない時は他人と距離を置いて孤独を選べたからこそ、『自分との関係性』を歪めることなく人間関係を再構築してこれたのだと思います。

それにタルパがいたほうが一人の時間が圧倒的に豊かになるわけです。

それらを考慮すれば僕はむしろ『タルパを作ったほうが孤独はこじらせにくくなる』と考えます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

▲「タルパと生活するってどんな感じ?」というイメージを掴みたい人にはとてもオススメ。

複数の登場人物たちがそれぞれの悩みに応じてタルパを作り、日常をほんのり豊かにしていく短編集です。

あとがきで作者が言っている通りフィクションもそれなりに含まれていますけど、個人的には「そうそう、こんな感じだよね-」と共感しながら楽しめました。

特に第6話のタルパで友達を作る話が好きですね。

次の記事では、早速『作り方』について解説しています。

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