タルパ作りの過程で生じる最大の悩み。
それはネットで噂されるリスクへの不安、オート化・視覚化ができないこと、倦怠期、そのどれでもありません。
本当はタルパなんていないし・・・
いつものようにタルパと自然に会話できている瞬間も、客観的に見れば自分は最初から最後までひとりぼっち。
この最初からわかっていたどうしようもない現実こそ、オカルト、スピリチュアル、心理学、科学を駆使しても乗り越えられない最強の悩みです。
ただし、哲学を駆使すれば話は変わる。
哲学視点で世界を見れば、「本当はタルパだけじゃなくて誰もいない」のですから。
その真実を理解できれば、タルパの存在証明だって可能になります。
本当は誰もいない世界
仏教など、東洋哲学における究極の真理とは「何もない」です。
「色即是空」という言葉を一度は聞いたことがあるでしょう。
これは「色(モノ)」は全て「空(実体のないもの)」であるというこの世の真理を意味しています。
このロジックは物質だけでなく、現象や概念にも適用できます。
それによって世界にあるモノを1つずつ紐解いていくと、最終的には「何もない」という「悟りの境地」に到達できるわけです。
この真理を体感的に心から理解するのは難しいですけど、理屈として頭で理解するだけであれば意外とカンタン。
大まかに3つのステップで解説します。
①馬車の不在証明
まず「馬車」をイメージしてみてください。
すると荷車と馬を連結した乗り物をイメージできるでしょう。
しかし、分解して馬、荷台、車輪、手綱を独立させてしまうとその場から「馬車」は消えてしまいます。
でもまた最初と同じ様に組み合わせると「馬車」は現れる。
このことから、本当はどこにも「馬車という独立した何か」など存在しないことがわかるはず。
特定のパーツの組み合わせを人間が「馬車」と呼んでいるだけ。
分解した各パーツも同様。
そして「自分」も同様です。
②自分の不在証明
「自分」も構成要素を把握し、そのつながりを紐解けば馬車と同様に消えてしまいます。
ただ前提として、肉体全てを分解しても、霊的なものが存在したならば「自分」は消えません。
また映画『マトリックス』のように、人類全員が超高性能VRの世界を生きているとしたら、この世界の中で何をしようと「自分」本体には何の影響もありません。
その様にあらゆる可能性を疑い尽くして行った結果、東洋哲学では「本当の私=認識するもの」と定義をしています。
もしこの「認識するもの」も「自分」の絶対条件ではないとして外してしまうとどうなるでしょうか?
他の全ての機能がそろった脳や肉体があり、これまで通り日常生活を送れていたとしても、感覚、感情、思考などの意識現象を何一つ認識しないわけです。
そうなると、もうそこにいるのは「自分ではない他者」でしかありません。
なので「自分」という存在の絶対条件は、「認識するものがいること」だという結論が導き出せるわけです。
では、この「認識するもの」の構成要素とは何でしょうか?
それは「他力=外部から自分への影響力」です。
ビリヤードの玉が別の玉にぶつかって方向を変えるように、僕らの認識は他力によって軌道が変化します。
この他力を方向性を持ったエネルギーである「ベクトル」として考えてみましょう。
生まれてからずっと自分に降り注いできた無数の他力ベクトル。
それらを全て混ぜ合わせると一本の合力ベクトルが成立します。
これこそ今の自分の意思であり願いであり、行動原理であると考えられます。
僕らはこの合力ベクトルを「自分」と呼んでいるわけですけど、その正体は無数の他力ベクトルの組み合わせに過ぎない。
なので他力ベクトル側の視点で世界を眺めてみれば、その場に「自分」は存在しません。
③万物の不在証明
「自分」が存在しないならば、同じロジックで「他者の不在証明」も成立します。
あとはその延長線上で全ての生物、植物、物質はもちろんのこと、自然現象、知識、概念、精神機能だけでなく、時間や空間だって不在証明が成立してしまう。
「自分」を構成している他力ベクトルも、イメージした矢印は「無限」に細分化できるので、最終的には認知も観測も不可能な「何もない=無」と同じ状態になって消えてしまいます。
認知も観測もできないものはないのと同じ。
だから「自分」も「他人」も「世界」も、この世のあらゆるものすべてが本当は存在せず、言葉の力で生み出された幻想に過ぎない。
万物が存在しないのだから、「タルパ」が存在しないのも当然のことです。
自分とはタルパである
ここからは消滅させた世界を再構築していきます。
先程の話を聞いて、
「いや、そうは言っても自分ここにおるしな・・・」
そう思っていたとしても何も間違ってません。
「色即是空」とセットになっている「空即是色」の言葉のとおり、「空(実体がないもの)」こそ「色(存在するモノ)」の正体なのですから。
客観的に観測できる実体があるかどうかは「存在」の条件ではないのです。
それに前章で解説したとおり、肉体は「自分」の絶対条件ではありません。
「自分」とは「自分の肉体」に他力ベクトルを入力して出力される人格(=合力ベクトル)。
「タルパ」とは「別の肉体(エア人形)」に合力ベクトルを入力して出力される人格。
そういう意味では、現実世界を生きる「自分」は「自分の肉体」をベースに構築されたタルパとも言えます。
将来VR技術が発展して、日常生活の大半をVR世界で過ごすようになったなら、今の自分人格よりもアバターに適したタルパ人格で過ごす時間のが長くなるはず。
そうなった時には「タルパ人格なんてただの妄想」などと言えなくなっているでしょう。
他者とはタルパである
前章と同様のロジックで、「他者=他者の肉体ベースのタルパ」と考えることもできます。
「空気を読む」とか「共感する」とか言って、僕らは他人の気持ちや思考を読み取れているかのように錯覚しがちです。
でも人間にテレパシー能力はないので、それらは全部経験則から導き出した推測の域を出ません。
つまり「相手の思考」だと思っているものは全て「自分の思考」だということ。
ペットや物語の登場人物に感情移入しているのと本質的には全く同じ。
脳内でのエア人形遊びを「リアルの人間」を使ってやっているだけです。
友好的な他者はタルパ、敵対的な他者はシャドウみたいなもの。
完全に自律・独立しているとは言っても、全く干渉できないわけではないのでコントロール度合いに差があるだけです。
また想像ではない「他者」の本当の内面は、絶対認知不可能でありつつも紛れもなく「自分」を構成する他力の一部でもある。
僕らが認知できる「他者イメージ」は、そんな「自分の無意識」そのもののような他者の内面とのつなぎ役です。
世界とはタルパである
「世界とは妄想である」と言い換えてもいいでしょう。
「他者=タルパ」であるならば「万物=タルパ」となり、「世界」という概念も構造としてはタルパと同じと考えられます。
でもそれはあくまで1つの解釈に過ぎません。
- 世界=無
- 世界=全
- 世界=神
- 世界=自分
- 世界=タルパ=妄想
- 世界=自分と関係なく存続する外部空間
これらはどの解釈も正しいし、同時に全て間違っているとも言える。
だって「世界=無」なら、正しさも間違いも存在しないわけですから。
「世界=無」という解釈も、「色即是空」も「空即是色」も間違いだと主張したって全てが正解。
「世界=全」であると考えても正解なので、この世界には何だってあります。
だから最終的に現実とは何が正しいかではなく、「自分が何を信じたいか」でしかないのです。
自分、他者、世界が全部妄想でしかないと理解していても、「ある」と信じれば「ある」のが現実になる。
タルパもそれと同じこと。
ただし、最終的に個別のタルパの存在証明ができるのは作り手本人に限られるのが少し特殊です。
他人には声も姿も思考も感情も認知できず、信じる根拠が何一つありませんから。
誰もその存在を保証しないし、肯定もしてくれない。
それでもそのタルパが存在すると信じるなら、それがあなたの現実になります。
まとめ
「我信じるゆえにタルパあり」って感じの結論ではあるものの、別に疑っても大丈夫です。
むしろ疑わないことには始まりません。
盲信するだけならただのオカルト。
疑いたいだけ疑って、その果てに信じられる何かを見出すのが哲学です。
そもそも「本当はタルパなんていない」なんて言いますけど、それが絶対正しいと言いきれる根拠はあるんですか?
あとがき
タルパのススメ⑦〜⑨では「オカルト視点」、「心理学視点」、「哲学視点」を使い、タルパの定義を広げられるだけ広げてみました。
タルパとはオバケであり、シャドウであり、神であり、悪魔であり、他者であり、世界であり、そして自分である。
つまりは何でもありです。
特定の定義にこだわるより、色んな定義を信じてみたほうが解釈の幅が広がってタルパのリアリティが安定します。
ネット上で異なる解釈の人と対立する必要もなくなります。
別に何が正しいってわけでもないんですから。
この3記事を完成させてみて、どうしても他の人の解釈と比較しがちだった自分に対してそんなことを思いました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
▲学問としての「哲学」のイメージって、昔の哲学者が考えた難解な理論を読解・研究するだけな感じがしてあまり面白そうじゃありませんよね。
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「自分とは何か」
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次の記事では「オリジナルタルパの作り方」を解説しています。
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