版権キャラだけじゃなくて、オリキャラのタルパを作ってみたいなー。
ちょっとオリキャラの作り方をネットで調べてみよう。
(カタカタカタ・・・)
まずはザックリでいいので、作りたいキャラの性格、髪型、服装、イメージカラーを言葉で書き出してください!
うん?まだ作りたいキャラのイメージなんてないんだけど?
では最低限のキャラ設定が決まったら、ラフイメージを描き出してみましょう!
この時点ではまだザックリで良いですよ!
(サラサラサラ~♪)
・・・・・・・・・・・
そのザックリイメージはどっから出てきたんだよオイィィィィィッ!!
オリジナルタルパ作り最大の障壁はこの「そもそもオリキャライメージが湧いてこないんですけど問題」だと思います。
この記事ではその攻略法を解説しつつ、創作や妄想が苦手な人でもできるオリジナルタルパの作り方を紹介します。
オリジナルタルパを作るコツ
【タルパのススメ②】で紹介した「版権タルパの作り方」の手順は「①キャラ選び②文章会話③習慣化」でした。
オリジナルタルパを作る場合は①の工程が「キャラ選び」から「キャラ作り」に変わるだけ。それ以降は全く同じです。
なので、あとは冒頭の問題の攻略法を把握し、それを踏まえて実際にオリジナルキャラを作れればなんとかなります。
そしてその攻略法とは次の3つです。
擬人化
「そもそもオリキャライメージが湧いてこないんですけど問題」の一番の原因は「アイディアを考える際の取っかかりがないこと」です。
取っかかりがないまま無理やりキャラデザしようとすると、版権キャラを少しアレンジしただけのパクリキャラか、ランダムにパーツを組み合わせただけの魅力ないモブキャラしか作れません。
それに対して擬人化という手法であれば、最初に取っかかりとなるモチーフを用意するところから始められます。
さらに「自分と縁のあるモチーフ」を選べば、思い入れや関連エピソードが付随しているのでオリジナリティのあるアイディアを出しやすくなります。
オリキャラの作り方は他にも色々あるでしょうけど、この方法はもともとモチーフと縁がある分、擬人化キャラに親しみを感じやすくタルパ化しやすいメリットが大きいです。
獣型のタルパを作りたい人は「擬獣化」と考えれば応用できると思います。
文章でも考える
キャライメージを膨らませられない原因は「脳内だけ、もしくはイメージだけで考えようとしてること」です。
人によっては脳内妄想だけ、もしくは何となくラクガキしてるだけでキャライメージがまとまるのかもしれませんけど、普通の人はそんなことできません。
彼等のマネをして性格、髪型、服装などの項目を穴埋め形式で埋めるだけではアイディアが膨らまないのも当たり前。
だってそこからイメージを連想する脳内回路がないんですから。
なのでイメージを連想する前に脳内回路を整備する必要があります。そして脳内回路の配線的役割を果たすのが「文章」です。
イメージで連想できなくても、モチーフやキーワードについて思いつくことを言葉で表現することはできるはず。
だからまずは文章で考察し、アイディアの情報量を増やす。
情報量が膨らんでくれば、キャラ設定案やそれに合うビジュアルイメージ案も連想しやすくなります。
つまり、いきなりイメージ出力しようとせず、先に言葉でアイディアを膨らませてからイメージ連想につなげていくわけです。
ちょっと手間ではありますけど、脳内だけで考え、偶然の閃きが降りていくるのを待ち続けるよりはずっとカンタンで再現性も高いです。
それなりに時間をかける
良いと思えるアイディアが浮かばない原因は「投資時間が少ないこと」です。
プロやキャラデザ上級者であれば即興でもオリキャラを作れるかもしれませんけど、初心者には当然難しい。
その実力差を埋める最もカンタンな方法は「時間で補う」。
1日考えて全く良いアイディアが浮かばなかったとしても、1週間考えればそれなりに良いアイディアが浮かぶはずです。
モノベース型と概念ベース型
擬人化モチーフに何を選ぶかによってその後の作り方が少し変わってくるので、その違いについても解説します。
モノベース型
実体があり、目で見えて手で触れられるモチーフを選んだ場合はこちら。
一般的な擬人化モチーフなので特に補足することはありません。
概念ベース型
実体がなく、目で見えず手で触れられないモチーフを選んだ場合はこちら。
こちらは「存在感を認知できるもの」をモチーフに選ぶことをオススメします。
具体例としては「感情、思考、欲求」など。
本体に実体があるモノベース型や、強いキャライメージが確立している版権タルパであれば、育てていく過程でそういう「中身」となる概念が自然と宿ります。
しかし、概念ベース型のオリジナルタルパを作る場合はそのどちらもないのでイメージの掴みどころがなく、タルパの「存在」を信じ続けるのが難しいのです。
なので想像力や妄想力に自信があるとかでなければ、概念ベース型は最初から「中身」をモチーフとして作ったほうが良い。でないと恐らくオート化まで保ちません。
例えば「猫」の擬人化キャラを作りたい場合で、ペットなどの本体が身近におらず、写真やイメージのみで作るのであれば概念ベース型に該当します。
この場合は「猫」をメインモチーフに選んではいけません。存在感を認知できない概念は「外身」にはなっても「中身」にはならないから。
「竜」や「野生動物」などを擬人化したい場合も同様。その場合は「存在感を認知できるもの」をメインモチーフ、竜や猫はサブモチーフとして扱いましょう。
ちなみに個人的に概念モチーフとしてオススメなのは「ネガティブな感情や欲求」です。
存在感も強く、【タルパのススメ⑦】で紹介した「タルパ化シャドウ」のようにオート化もしやすいから。
また、理想的なキャラ設定をそろえた中に一部ネガティブ要素があると、それはチャームポイントになりえるので魅力的なキャラが成立しやすくなります。
自分の短所をポジティブに捉える視点も磨けて一石二鳥!
2つの型の比較表 | モノベース型 | 概念ベース型 |
---|---|---|
モチーフ | 実体あり | 実体なし |
類型 | 挿入型 | 創造型、変遷型、生誕型 |
具体例 | 一般的擬人化キャラ 付喪神 など | 版権タルパ キャラ化シャドウ 神様 など |
エア人形 | なしでも可 | 必須 |
メリット | モノへの愛着が増す 存在感が強い | デザイン自由度が高い 物質的モチーフ不要 |
デメリット | モノへの執着が増す | 中身がないと存在感が弱い |
オリジナルタルパの作り方
ステップは全部で6つ。大枠としては「文章出力▶イメージ出力」を3セットやるだけです。
でもそれなり時間はかかると思うので、1日で終わらせようとせず、1週間位かけてじっくり取り組むのがオススメ。
その方が気楽に取り組めますし、作業時間外での閃きチャンスも増えてお得です。
(※この記事の作り方は「それなりに絵が描ける人向け」です。「絵が苦手な人向け」の作り方は【こちらの記事】で解説しています。)
①モチーフ選び
モチーフを選ぶ
モチーフ選びの条件は「自分に縁のあるもの」です。
日常生活の中で慣れ親しんでいるものや、お気に入りのものなど。
実体のない概念モチーフを選ぶ場合は「存在感を認知できるもの」という条件も加えましょう。
獣人タルパを作りたい場合は、組み合わせたい獣をメインではなくサブモチーフとして設定してください。
擬人化キャラのイメージを文章で考える
選んだモチーフの特徴、選んだ理由、関連エピソードなどを取っかかりとして、擬人化キャラの性格、見た目などを文章に書き出しながら考えてみてください。
ここでは情報量を増やすことが大事なので、キャラ設定が固まらなくても作文を一定量出力できれば良いです。
最低限ノート1ページ分。書き足りないと感じれば上限はありません。
良いアイディアを出すコツは、デジタルではなくアナログで、箇条書き形式ではなく作文形式で書くことです。
独り言を文章化する感じで、ダラダラと余計なことまで書きましょう。
②大ラフ
資料なしでラフイメージを描いてみる
無理やりでも良いので、現状手元にある情報だけを頼りに擬人化キャラを描いてみてください。
まだ後で2回アップデートする工程があるので、ここでイメージを決定する必要はありません。
ただ、情報収集前の初期段階でしか出せないイメージもあるはずなので、それなりに丁寧に描きましょう。
あまり細かい要素を決める必要はないので、3~4頭身くらいのミニキャラで描くのが良いです。
ミニキャラを描くのに慣れていない方は、【こちらの過去記事】で紹介している素体の描き方を参考にしてください。
③情報収集
マインドマップでイメージ展開
上のマインドマップ画像を参考にして、モチーフからの連想イメージ&情報を展開してみましょう。
まずは①で書いた作文やラフイメージから出てきた要素を記入してみて、そこからさらに連想される要素を膨らませていきます。
マインドマップはアイディアを考えるというより、単純に頭の中にある関連情報を吐き出す目的で取り組むとスムーズに展開できます。
ノート1ページ分展開できたら、キャラデザに使えそうな要素をマーキングして完了です。
スケッチしながら観察
実物でも写真でも良いので、スケッチしながら改めてモチーフを観察しましょう。
新しく気づいた特徴、思いついたアイデアがあったらスケッチ周辺や、先ほどのマインドマップ内にメモしておく。
最低3個メモできるとこまでは観察を続けます。
概念ベース型は文章スケッチをしましょう。目には見えずとも、認知できる感覚を言葉で描写してみることで新しい気づきが得られるはずです。
画像検索でイメージ収集
次にモチーフ名をキーワードにして画像検索をしてみましょう。
ちなみに僕がイメージ収集に使っているのはグーグル画像検索とピンタレストです。
その中でキャラデザの参考になるかもしれないイメージがあったら、ノートに模写メモを取ります。
一度描きだしてみないとキャラデザに応用するのは難しいので、画像保存するだけで終わらせずに気になったポイントだけでも模写しておきしましょう。
模写しようと思えない、模写できない画像はどのみち参考にならないのでスルー。
途中で思いついたアイディアなどがあれば、それも一緒のページに描いてしまって構いません。それで最低限1ページは埋めましょう。
キャラデザの参考資料を収集
作りたいキャラに反映したい「目、髪型、服装」の資料を集めましょう。
この時点ではまだ案を決定する必要はありません。候補案をピックアップするだけでOKです。
キャラのイメージに合う、萌える、グッと来る、などと思えるキャライラストの中から参考にしたい画像を保存し、髪型や服装の名称を箇条書きでリスト化しておきます。
目は好みの描き方をしているイラストレーターやキャラ名でリスト化。
余裕があればこちらも模写メモを取ってみるのが良いですけど、とりあえず3パーツの候補リストが用意できれば次に進めます。
改めて擬人化キャラのイメージを文章で考える
現時点でイメージが全然まとまっていなくても焦る必要はありません。
アイディアを膨らませている段階ではイメージがごちゃ混ぜ状態のため、どうしても漠然とした印象になってしまうものです。
でもここからは膨らませたアイディアを収束させ、イメージを具体化していきます。
次の要素について改めて考えてみて、一つずつイメージを絞り込んでいきましょう。
「性格」はマインドマップの情報を見ながら作文していくうちに固まってくると思います。
「目」は性格が決まれば「ツリ目・タレ目・ジト目・糸目・普通目」のいずれかに形が決まると思うので、あとは好みの目の描き方を候補リスト&画像の中から選びましょう。
「髪型」と「服装」は候補リストを一つずつ検討しながら厳選していきます。
この厳選作業を脳内だけでやろうとすると全然決まらないですけど、文章に書き出しながら行えば、ゆっくりでも着実に案が絞れます。
次の工程ではラフイメージを数パターン描き出して比較するので、トップ3くらいまで絞れてれば十分。
また、ここではモチーフデザインを無理してキャラデザに反映しようとしなくて大丈夫です。
アイディアが浮かぶに越したことはありませんけど、まずは最低限ベースとなるデザインを決められれば良いです。
それなりのページ数が必要だと思いますので、休憩をはさみながら気長に取り組みましょう。
④ラフ
改良版のラフイメージを数パターン描いてみる
ここでは作文の中で具体化したイメージを実際に絵に描いてみて、最も納得できるデザインを見つけるのが目的です。
納得するには複数の候補案を比較検討するのが一番なので、マイナーチェンジを試しつつ最低3パターンは絞り出しましょう。
一応描き始める前に、手前で具体化したキャラデザ要素を一通り練習しておいた方が良いです。
描き慣れないままでは上手くパーツを組み合わせることができませんから。
⑤中間評価
肯定的な感想文を書く
描き出したラフイメージの中から一番気に入ったものを一つ選び、そのデザインを「褒める」スタンスで感想文を書きましょう。
問題点については一旦目をつむり、それを選んだ理由、良いと感じる理由などにフォーカスし、自画自賛の評価を言葉にします。
あとはこうして絞り出した褒められる要素をキャラデザの軸として捉え、より自分好みにしたり、魅力を強調できるアイディアはないかと考えてみます。
否定的な感想文を書く
べた褒めから一転。今度は問題点をスルーせずに「批判する」スタンスで感想文を書きましょう。
気に入らない理由、良くないと感じる理由にフォーカスし、ボロクソの評価を言葉にします。
その後、批判した者の責任として改善方法を提示しましょう。どうしたら問題点を改善できるのかを真剣に考える。
またモチーフデザインの反映が不十分だと思う場合は、ここで追加の案を考えましょう。
改めて資料を見返し、ベースデザインにトッピングできそうな要素を探します。
どちらの感想文もそれぞれ最低限ノート1ページ。次の工程でラストなので、納得できるとこまで書くのが良いです。
⑥仕上げ
ラフイメージを修正してキャラデザ完成
感想文で出てきたアイディアを反映したら、とりあえずキャラデザは完成です!お疲れさまでした!
あとは完成イメージを見つつ、名前や他に最低限必要と思う設定要素を詰めていきましょう。
正直まだ十分に満足できるキャラは作れていないと思いますけど、それは問題ありません。
とりあえず「いい感じ」と思える要素が1つでもあれば納得はできるはず。
ならばあとは育てながらアップデートを重ねていけば良い。
この時点で最終形である必要などないのです。
育て方の詳細は【タルパのススメ③】を参考にしてください。
まとめ
記事を読み終えたこの時点で、作りたいキャライメージが全く浮かんでいなくても問題なしです。
実際に作り始めてみないとアイディアは浮かばないのが普通ですから。
とりあえず縁のあるモチーフを選んで擬人化作文を書いてみてください。
そしたらザックリしたイメージが浮かんでくるはずですよ!
あとがき
今回紹介した方法は、僕がいつもイラストアイディアを考えるときの方法と、過去にオリジナルタルパを作ったときの経験を組み合わせたものです。
自分でも実際に使ってみて思ったのは、やはりイラスト同様一番キツイのは「いい感じ」と思えるアイディアが出でるまでの間。
その間はいくら情報収集してもアイディアを蓄積しても「完成させられないかもしれない不安」が消えないからです。
そんなときは「作文」が非常に役立ちます。
不安な気持ちを文章出力して心を軽くしながらアイディア出しを前進させられるので。
それでなんとか二度目のイメージ出力で「いい感じ!」と思う案が出せました。
あとはその案を磨いていくだけで良いので、その後は不安なくスムーズに進められました。
「いい感じ」を掴むコツは、締切を設けないことと、イメージ出力を丁寧に描くことです。
下手でも良いからできるだけ丁寧に描く。
それで「いい感じ」さえ掴めれば、キャラデザがどんなに地味でもイラスト映えしなくても、そのオリジナルキャラのことが好きになれるはずです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
▲この記事で紹介したような擬人化を起点としたキャラデザ方法を紹介している本です。
擬人化の基本的な考え方から、モチーフの特徴をキャラデザに反映させるコツなどが学べます。
またキャラデザのベースとなる衣装の一覧が収録されているので、タルパのベース衣装を変更し、衣装バリエーションを増やすのにも役立ちます。
一度この記事のやり方でオリジナルキャラを作ってみて、その後にこの本を読めばキャラデザのクオリティが向上すると思いますよ!
次の記事では、「タルパとの別れ方」について解説しています。
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