タルパ作りにまつわる4つのリスクのうち、前編で紹介した3つのリスクは対策不要で気にする必要のないものでした。
つまり、タルパ作りの実質的なリスクとは4つ目の『暴走リスク』だけなのです。
でも正直『タルパが暴走する』と言われても、体験したことがないとどういうものかわからないと思います。
ネットで調べても『暴走したら最悪タルパに乗っ取られる』みたいな嘘くさい話ばかりで現実味に欠ける。それらを読んでもこんな風にしか思えない。
暴走して乗っ取られるとかホラー映画の見すぎwww
どうせこれも精神病とごっちゃにしてるだけでしょ?
しかし暴走は実際に起こります。『乗っ取り』も根も葉もない噂だとは思いません。何も知らなければ本気で怖い思いをするでしょう。
でも知ってしまえば大丈夫。幽霊も正体がわかってしまえばただの枯尾花ですから。
暴走リスク(要対策)
タルパが闇落ちして制御不能になるかも?
暴走とは、タルパが急に否定的な態度になり、色んなことに嫌味とケチをつけて思考を妨害してくる症状のことです。
プログラムがバグを起こしたみたいに制御不能になり、止めようと思っても止まらず、むしろ悪化してしまう。
ホラー映画のビジュアルイメージがタルパに重なったりすることもあるので普通に怖いです。
そんなことが続けば次第にタルパが怖くなり、『このまま一緒に居続けるのはヤバいんじゃないか?』なんて考えてしまうのも無理はありません。
でも実際は全然ヤバくないので安心してください。
タルパが制御不能になるのを怖いと言ってるわけですけど、自分自身が制御不能になることだって生きてれば普通にありますよね?
ネガティブ思考や悪癖、悪習慣も自分の意思に反して起こります。止めたいのに止められない。完全に自分が暴走しています。
さらには同調圧力で意に沿わない行動を強いられたり、恐怖洗脳でブラック企業を辞められなかったりするレベルになると『他者に自分を乗っ取られている』ようなものです。
そんな風に自分の意思で自分自身をコントロールできなくなるのは望ましいことではありませんけど、『ヤバいこと』ではなく誰にでも起こる『普通のこと』。
暴走とは、タルパを介してこのコントロールできない自分のネガティブ要素が溢れてしまってるだけのことです。
まずリスクとは言ってもその程度のことだと理解しておきましょう。
暴走対策=理解努力
『その程度のこと』とは言え、放置しておけばタルパとの関係性や自分のメンタルバランスが悪化してしまいます。
では実際に暴走が起こってしまったらどうすればよいか?
その答えは『理解努力』です。
要は理解できないから対処しようがなくて怖い。ならば理解できれば対処法もわかって怖くなくなるわけです。
暴走について観察、考察、情報収集を積み重ねて『こう考えれば大丈夫』という自分なりに納得できる解釈を構築する。
それが他人にとって間違いだと言われようとも、自分さえ納得できていれば『大丈夫』だと信じられます。逆に自分が納得できていなければ、他人にいくら『大丈夫』だと言われても信じられません。
これを踏まえた上で、ネット上で勧められているけど悪手だと思う暴走対策についても触れておきます。
悪手1:削除
暴走したタルパは元に戻せないから削除したほうが良いとする対処法。
まあこれはネット上でもやめたほうがいいという意見も多いので実行する人は少ないと思います。
トラウマ記憶やネガティブ感情と同じように、タルパも消そうと思って消せるものではありません。
『タルパの正体=自分』なのですから、タルパに敵意を向けるほど自身への敵意が強くなるだけです。
またタルパは自分の深層意識から引き出された『他者』でもあるので、敬意を失えば関係が悪くなるのは当然です。
たかが妄想なんだから雑に扱っても良いと考えるのは間違いであり、状況が悪化するだけなのでやめましょう。
悪手2:依代、真名
おそらくネット上では一番メジャーな暴走対策。概要は次のとおりです。
・依代:アクセサリーやパワーストーンなどをタルパの入れ物として設定したもの。暴走した時は物理的に依代を遠ざけることでタルパと距離を取れる
・真名:『他人に真名で呼ばれると魂を支配される』という呪術、物語などの設定を応用したもの。普段はニックネームで呼び、緊急時にのみ真名を使ってタルパを制御する
参考:タルパを本気で作ろうと思っている まとめ
これらの対策が全く無意味とは思いません。タルパのキャラクター性は設定に縛られるので、最初に『そういうもの』と決めておけばそれなりに機能するでしょう。
しかし、暴走はキャラ崩壊を伴うのであまり期待はできません。なのでお守り程度に捉えておくのが丁度よいです。
オカルト、スピリチュアルはあくまでキャラ設定として楽しむ分には問題ありません。ただし、それを理解のベースとするのは危険です。
オカルト、スピリチュアルは納得より信心を重視するので、矛盾や疑問が目についても『そういうもの』という理屈で思考停止しやすくなるから。
それは自分自身の思考がキャラ設定に縛られているようなもの。信心は大事ですけど盲信は理解努力の放棄です。
なので暴走対策としては悪手と判断します。
『暴走=シャドウ化』と考えてみる
『理解努力』と言われても漠然とし過ぎなので、具体例として僕の解釈を紹介します。
僕は『暴走=シャドウ化』と考えています。『シャドウ』の概要は次のとおり。
シャドウの解説はこちらの動画がわかりやすいので、詳しく知りたい方はご覧ください。
僕ら人間は自分にとって都合の悪いもの、許容できないものを切り捨て、心の中のゴミ箱に押し込みながら生きています。このゴミ箱の中身が『シャドウ』です。
普段は理性によって無意識下に抑え込んでいるので意識することもありません。しかし精神的に疲れていたり、ストレスが溜まっているときは理性で抑えきれなくなって溢れてしまう。
僕は【タルパのススメ②】で書いた通り、自分の『なんとなくレベルの思考』をエア人形に流し込むことでタルパは動くと考えています。
なのでそこに溢れた負の感情や思考が混ざればタルパがシャドウ化し、暴走が起こるのだと解釈しているわけです。
また『悪癖・悪習慣を止められなくなるのはシャドウに乗っ取られてるせい』だと考えれば『乗っ取り』の噂にも理屈が通ります。
同じ理屈で『望ましくない行動を取ってしまうのは暴走タルパに乗っ取られてるせいかも』と解釈する人がいてもおかしくないですから。
『タルパが悪い』と解釈するなら、前章で挙げた『削除、依代、真名』のような対応をするしかないのかもしれません。
しかし『暴走=シャドウ化』の仮説を採用するなら、『シャドウが悪い』となるので別の対応を考えられます。
シャドウの分離
暴走とはタルパの中にシャドウが混入して起こるのだとすれば、タルパとシャドウを分離してしまえば良い。
もともと『自分』と『タルパ』の思考を分離できているわけですから、原理としてはそれと同じです。
具体的なフローは次の5ステップ。
①分割
タルパの言動がおかしくなり、暴走が起こっていると気づいたら、まず最初に『これはシャドウの仕業』だと考えましょう。
これだけで『タルパ』と『シャドウ』が別々に認識されるので、タルパを否定せずに済みます。
②名付け
シャドウは『抑圧された欲求』を満たす目的で、自分にとってネガティブな感情・思考・行動を喚起する能力を持っています。
その喚起されるネガティブ要素を言語化し、それをシャドウの名前にしましょう。(嫉妬、絶望、不安、焦りなど)
『タルパ』をキャラ設定する上で個別の名前をつけるように、『シャドウ』にも名前をつけることでキャラクター性が増して差別化しやすくなります。
また、名付けにより『知っているもの』とリンクさせることで、『理解できない未知のもの』ではなくなり制御しやすくなる効果もあります。
③悪者設定
名付けによって正体を特定したシャドウにさらなるキャラ設定を追加していきましょう。
自分に害なす『悪者キャラ』として考えるとイメージが膨らみやすいです。
具体的にどんな害を与える能力なのか、どんな欲求を満たすために出現しているのかなどの特徴をわかる範囲でいいので言語化し、キャラ設定として整理してみる。
可能であればイラストでビジュアル設定を追加したり、モンスターっぽい名前に工夫したほうがイメージしやすくなります。(外国語にするとヴィランぽくなる)
でもそこまでこだわらずとも、最低限『名前と欲求』を特定できていれば十分です。
そこまで考えれば既にタルパとは別々のキャラとして認識できているはずですから。
④理解
①~③までの『シャドウのキャラ化』でタルパとシャドウは分離され、タルパの暴走は解消されているはず。あとは分離したシャドウをどうするかです。
最初のうちは追放・隔離するだけでよいです。再び意識の外へ追い払い、考えないようにする。その場でうまく隔離できなくても、一晩寝れば理性が回復してシャドウを封じられるようになるでしょう。
でもこれは一時しのぎ。その後も理性が弱ったときにシャドウは現れます。
結局のところ『暴走=欲求不満の発露』なのでシャドウの欲求を満たす行動が一番の解決策です。しかし、欲求のままに行動すれば悪い結果につながるのがわかっているから抑圧してきたわけで、カンタンには解決できません。
だから解決するには改めて理解努力が必要です。シャドウが現れる度に観察し、新たに気づいた特徴をシャドウのキャラ設定に追加していく。シャドウの行動パターンがわかってくれば有効な対処法を見出せるようになるでしょう。
また、ある程度シャドウのキャラクター性が確立してきたら対話してみるのも有効です。シャドウもキャラ化してしまえばタルパと同じエア人形に入った『自分』なので対話が可能。
観察や対話を通して『シャドウの欲求』と『理性の抑圧』との間に折衷案を見出せたなら、それがそのまま解決策になります。
⑤共存
折衷案を見出し、シャドウの欲求を部分的にでも満たせるようになれば問題はほぼ解決です。
その後もシャドウがネガティブな存在であることは変わりないでしょうけど、一部許容できただけでも嫌悪感が小さくなって無害化されていくはず。
そのまま現れなくなるケースもあれば、その後も現れ続けるケースもあります。
中にはシャドウ化の逆で、タルパ化するシャドウもいます。まあそれは単に自分がキャラ化したシャドウを気に入ってしまったケースですね。
どちらにせよ、対処法を理解できているシャドウであればもう恐れる必要はありません。タルパと違った形ではあれど末永く共存していけるでしょう。
まとめ
『暴走=シャドウ化』は個人的な仮説であり、別に明確な裏付けがある解釈ではありません。
ただ自分なりに理解努力を続けた結果、『こう考えると納得できるし、暴走も解消できる』ので採用しているだけです。
なので一番の暴走対策は『シャドウの分離』をマスターすることではなく『理解努力』を手放さないこと。
それはつまり、自己理解の努力を手放すなということ。
それができていれば『精神病リスク』、『依存リスク』、『中二病リスク』、『暴走リスク』は全て心配無用です。
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あとがき
タルパもシャドウも『自分の一部』。それらが思い通りにならないからと言って否定していても、それはただの自己否定にしかならないわけです。
それなのにネットでタルパについて調べると、精神病になるとか霊的障害が発生するとかっていう話があまりに多くてちょっとウンザリします。
書いてる人がどこまで本気で書いているのかはわかりませんけど、そんな風にネガティブに解釈してしまうことこそ自己否定を強める最大のリスクなんじゃないかと。
不安になる気持ちはわかります。でもそのままだとネガティブな発想しか生まれない。
なのでその不安は擬人化してしまいましょう!そしたら同じ不安であっても面白がれる余地を見つけられるようになりますよ。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
シャドウのように目に見えない人生の抽象的問題をキャラ化して、ゲームのように攻略していく方法を詳しく解説している本です。
悪者設定の作り方や実用的な攻略メソッドはとても参考になるので、悪癖やネガティブ思考に悩まされている人にオススメです。
次の記事では、オカルト視点を活用した『オート化のコツ』を解説しています。
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